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上世屋車庫

天橋立にほど近い、海沿いに平野が広がる日置集落から世屋川に沿って曲がりくねった道を7kmほど登ると、標高350mに地すべりによって生まれた緩斜面を切り開いて出来た、上世屋集落に至ります。上世屋は標高は高いものの、山に阻まれて日本海からの風を直接受けることはないようで、昔ながらの整備されていない棚田のなかに入母屋造りの民家が点在する風景の中に海はありません。上世屋周辺に4つある集落は、ひとつ離れた畑集落をあわせて昭和29年まで世屋村として単独村制を敷いており、サンパチ豪雪までは1,000人を超える人口を抱えていたため、丹海バスが目を付けないわけもなく、昭和38年の時点でも2往復しかないとはいえ、上世屋に車庫と宿舎を置いて、宮津まで70分かけて毎日運行していました。車庫は上世屋集落の入口付近にあり、バス停は日置から下世屋集落内の2つ、そして終点の上世屋くらいしかなく、残る2つの集落は上世屋より奥にあるため、果たして需要をまかなえたのだろうかと疑問に思ってしまいますが、道路整備が進んでいなかったり、上世屋に分校があったりしたため合理的だったのでしょう。
とはいえサンパチ豪雪以降、急速に進んだ過疎化の流れには抗えず、丹後海陸交通は世屋線から撤退、宮津市からの委託で週に3日、ハイエースが上世屋を通って奥の集落まで2.5往復走っています。


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上世屋車庫は車庫と宿舎が一体化しており、積雪の影響を抑えるためか屋根が同じ高さになっています。宿舎部分は車掌含めて2名が泊まるにしても大きすぎるので、壁の内側がすべて部屋になっていたわけではないのでしょう。現在もすぐそばにバス停があるほか、かつては集落内唯一の郵便ポストもあったようです。

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反対側から。二階にも部屋があったのでしょうか。

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宿舎部分。向かって右の張り出しはトイレと思われます。

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ホーロー看板。

撮影:2020.08





by hirobus2012 | 2021-03-02 22:47 | バス車庫_兵庫県 | Comments(0)

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by 始終車庫